たまいろ日記

BL感想ブログ

「ボーイミーツマリア」【ネタバレ感想】PEYO

作者の訃報で初めて知って、本屋で取り寄せた思い入れある漫画。

可愛らしい表紙だけど絵は少年漫画風で、良い意味でBLっぽくない。

ボーイミーツマリア (CannaComics)

この作者さんは恵口公生名義で「キミオアライブ」という少年漫画も描いていて、こちらは絶筆。

ググったらめちゃくちゃお若い人だった。

才能溢れててまだまだこれからっていう漫画家さんだったのに…

あらすじ

演劇部のマドンナ。
彼女は、男でした――。

おちこぼれ部員×部一の実力派美女(?)

卓越した画力で描く、
Cannaが放つスーパールーキー!

https://amzn.to/4073xQ6

レビュー

ストーリー:★★★★★

作画:★★★★★

えち度:★☆☆☆☆

「ボーイミーツマリア」は男子高校生の演劇部のお話。

ヒーローに憧れる熱血男子・大河と、演劇部のマドンナ・優(通称マリア)。

一目惚れした子が、実は女装した男子だった!!

 

 

感想

実は最初、「大河のこと苦手かもなぁ」って思ってたんですよね。

相手の迷惑とか考えずに思ったこと全部口に出しちゃうし、やたらと熱いし(笑)

「男は女を守るもの」って前時代的な思考でなんだかなぁ…と。

ただ、彼がそういう考えを持つようになった原因がちゃんとありました。

現実にヒーローなど存在しないことなんて分かりきった上で、演じるだけでもいいからヒーローになりたかった。

自分が間違っていれば反省して謝るし、バカ真面目だし、少年漫画の主人公にいそうなタイプ。

周りが「これはヘンだ」と言っても、絶対に影響されない。

↓この台詞がこの漫画で一番好き。

「あいつが ケーキに手ぇ届きやすいような席だけ 空けてて待っててください」

こんなやつがクラスにいたら惚れちゃう…

 

 

母親が毒親だったため、子供の頃は女の子として育てられた優。

知り合いの男に無理やりされた過去。

子供の優が負った傷はあまりにも大きい…

女装しないと舞台に立てない優。

実は大河も優も「演じるだけでもいいからヒーローになってみたい」と、演技における根っこの部分が共通している。

そんな2人が交差することにより、未熟だけど彼らなりの“ヒーロー”が出来上がっていく。

ここらへん、めちゃくちゃ少年漫画っぽいよなぁ。

「俺はお前に憧れてるんだ!お前みたいになりたいんだ!」的な思いをお互い相手に抱いているのは、あるあるですよね。

お互い憧れていて羨ましくて、共に努力することで影響し合う…みたいな。ライバルとはまたちょっと違うけども。

大河の親父、最初は「クズだなぁ〜」って思ってたんだけど、そうだったのか!あの時のヒーローが親父だったのか!!

大河はまだこのこと知らないだろうし、「あの時なんで!?」っていうモヤモヤがずっと心に残ってると思うから、いつか知ってほしいな。

あと大河の友達2人、めちゃくちゃ良いやつすぎん?

親友にしたいレベルで好感度高い2人…

 

 

まとめ

ボーイミーツ「ガール」でもなく「ボーイ」でもない。ボーイミーツマリア。

BLでありがちなラブラブでえちえちな内容とは全然違って、ただ健全で純粋な(というにはちょっと読んでてしんどくなるシーンも多いけど)青春&成長物語でした。

えちえち描写はない(キスはあった)けれど、この漫画を初心者に勧めるにはちょっと重いかな…

空っぽだった大河、トラウマを抱えた優。

傷ついた2人がヒーローへの一歩を踏み出せて本当によかった。

スポットライトを浴びちゃいけないやつなんていないよね!